ストップ!魔法のような起業術では軌道に乗りません!
「起業家として、どのくらいで軌道に乗りますか?」というご質問がとても多くなりました。
確かに頑張っても頑張っても芽もでないどころか、この先進めてもいいものか?と不安になる起業家も多い状態です。
一方で会社員も最近では先行き不透明で、個人に力をつけよう、会社員だけでなく起業をすることや副業が当たり前の時代にもなってきました。
そのため起業家になる人も増加傾向にもなってきております。
「起業家として、どのくらいで軌道に乗りますか?」は、気になるところのご質問です。
はっきり言って、「エイッ!」と魔法をかけたら直ぐに起業家として軌道に乗り、成功をするほど簡単であれば、皆が起業家として成功をしています。
そんなに簡単ではないのです。
今日はご質問の多い、「起業家としてどのくらいで軌道に乗るのか?」というテーマで解説をしていきたいと思います。
なぜ、起業する人が増えてきたのか?
先ずは、どうしてこんなに起業を考える人が増えてきたのか?という点について、考えたいと思います。起業する理由は昔から人それぞれ、いろいろありましたが、特に今年に入っての大きな変化から起業を考える人も増えてきました。
会社員から起業を考える人の場合、以前なら定年退職までというのが定番でしたがここ最近の何年かでガラッと変化してきました。
働き方改革が叫ばれている中、大手企業は会社の体力があるうちに人員整理をしようという動きが昨年まではありました。
追い打ちをかけて、今年に入りコロナの影響もあって、不景気の波が覆いかぶさり、これ以上は立ち行かない企業が増えてきました。
それは中小企業だけではなく、大企業でさえ人員整理の状態になっています。
経営者に求められていたのが、この時代変化にどう矛先を変えていけれるのか?でした。
職人気質の経営者は、そんなオンラインやバーチャルなんていうものは、邪道だ!考えられない!馬鹿にしている!と真っ向から反対をします。
確かにそうなのかもしれません。しかし、事業が維持できなくなり前に進まなければ、廃業を余儀なくされてしまいます。
しかし、考えているうちに悩んでいるうちに、残念ながら古き良き老舗店舗や対面をメインとする事業は、とても速い時代変化についていけず、廃業に追い込まれる所も増加してきました。
また、大手の企業もリストラ策や人員の給与削減策などを次々に出してくるようになりました。
例えば、メガバンクの「みづほ銀行」の業務量削減策は以前の希望退職などのリストラ策と少し業態を変えてきました。簡単に言えば、働く時間を減らしてその分、働いていないのだから、給与も減額をするというものです。
次々によく考えるなとは思いますが、給与が減少するれば、子育て世代や家を購入した人たちからしたら、子供の教育資金やローンはどうするのだなど、生活苦に突入します。
大手企業の会社員は安泰だと考えていた人たちも、流石に不安になっていると思います。
そこで考えるのが、他の副業か、自分のやりたい起業をしようという人口が増えてきたということです。会社員と併用した起業など、週末起業家の人口が増加傾向になっています。
先行きが不透明なので、これからは会社の力に頼らず個人の能力が必要と考える人たちも増えてきたわけです。また、起業家人口が増えてきたので、「起業する」という一昔前なら、とても高かったハードルが手に届くところに来ています。
そこで起業をしたら簡単に稼げると考えている勘違いの人も多いのも事実ですが、現実はそんなに簡単ではありません。
魔法のような起業はありません!
貴方は起業をして理想はどんなご自身でしょうか?
キラキラと輝き、同じ志の仲間の中心にいる笑顔の貴方でしょうか?
或は会社員だから、会社員の収入を少し補填するような、身の丈起業でいいんだ、そんな大それたことも考えてはいないということでしょうか?
「〇ケ月で直ぐに成功をして、〇〇〇万円の月収になりました。」
「会社員時代は満員電車に乗り疲弊していた自分がいましたが、今は自然多い海を見ながらのんびりと暮らしながら、あくせく働かなくても収入が入ってきてバラ色です」
「自由を手に入れることがこんなに楽しいとは思いませんでした。しかも、好きな時間に好きな仕事をしながら、やりがいを感じています」
このような文言の起業家ビジネスの人を、探せばキリがないのですが、起業をしたら直ぐにこんな生活になると考えている人も少なくありません。これは、苦労をした部分や時間経過、失敗した経過などが一切入っておらず、成功をした部分しか入っておりませんので、鵜呑みにしてはいけません。
そんなに甘くありません。
そんなに簡単ではありません。
身の丈起業でいいんだよというのも、そんな身の丈でいいような事業であり、ご自身のことしか考えていないのであれば、プロ意識を感じられなくて誰もお願いしようとは思いません。
趣味の域になってしまいます。
現実的な起業の考え方は?
どんな仕事もプロになるためには、「1万時間かかる」と言われています。
1万時間と言えば、一日に起業の業務を真剣に対応できる時間が仮に8時間として、月に日曜日だけ休むとして、月間の稼働日が26日とします。
これでも一般的には多い方であり、起業の旗揚げをして、その業務ばかりを真剣にやる一日の稼働が8時間ということなのですが・・・
(中にはどの仕事の起業をしようかと、延々と悩んで何年も経過をして、旗揚げもしていない、ご自身の商品もないというような起業家も多くいます。
要するに、あなたは何をやっているのですか?という起業家が、実に多いのです。
まぁ、その話はまた別の機会にします。今回は、旗揚げをした起業家の話とします。)
すると8時間×26日=208時間になります。
年間は、208時間×12ケ月=2496時間になります。
1万時間になるためには、10000÷2496時間=4年
ということになりますが、年末年始やお盆などもあり、どこにも行かないで業務ばかりを対応しているというのも考えにくいので、早くて4年~5年ということになります。
しかも、その起業の業務をしっかりとこなすという前提があるという条件の下での話です。
ではその間の収入はどうするのだ?
といえば、その間に独り立ちができないのであれば、何とかするしかありません。
貯蓄を切り崩していくのか?或は、バイトをするのか?或は、ご自身のスキルや労働を形に変えて
直ぐにお金になる仕事を掛け持ちするのか?
そんな苦労をしながらも、ご自身のやりたい起業をずっと変わらぬ速度で、保ち続けることができるのか?意志は固いのか?時には失敗もあり、落ち込みこともあろうかと思いますが、そんな時でも立て直して、前に進む必要があります。
時にはかつての会社の仲間から、「まだやっているの?」「何やっているの?」とバカにされることだってあります。
そんな時でも、孤独の中で自分を信じて前に進む力が必要になります。
経営理念を持っていること
起業をしていると周りとあまりにも違います。会社員から起業をした人ならば、いままでは仲間がすぐ側にいた、愚痴を言いたい時には、似たような人が側にいて聴いてくれて気持ちを分かってもらえた。
しかし、起業をしたならば、起業家は増えたとは言うものの会社員と比べたら起業家人口はそれほどは多くありません。
ということは側に起業家としての志が似ている人が少ないわけです。
とても孤独な気持ちになることでしょう。
そんな時に起業をしたこともないにも関わらず、知っているようなそぶりの、知ったかぶりの人が「そのやり方は正しくない」「そんなのは失敗するに違いない」などと、いろいろと言ってきたりします。
そんな時に起業家、経営者としての軸が人の話で左右されてしまってはいけません。
動じないというのか、経営理念をしっかりと持っておくことが大切です。経営理念なんていうと、難しく感じるかもしれませんが、要は「この起業、この会社は何のために存在しているのか?」「この経営をどういう目的で、どんなやり方で行うのか?」という、基本の考え方を持つことが何よりも大切です。
迷い始めたら、理念に戻ってください。ご自身の経営の軸をもっていないと、フラフラになってしまいます。
時には、売上が伸びない時もあるでしょうし、商売をやるうえで成功するためにどうしたらいいのか?と悩むことも多いと思います。
経営は人間が行うものです。経営を適切に実行するためには、経営者は正しい考え方を持っていないと前に進まなくなってしまいます。
会社員時代がなだらかな内海にいられたとすると、起業をして経営者になると、いきなり大海の激しい外海に放り込まれた感じになります。
そんな中でもしっかりとご自身の起業の旗揚げをして、波や嵐に飲み込まれないように、ご自身の目指す岸にたどり着かないといけません。
苦しいお話ばかりをして恐縮ですが、起業をとても簡単に考えている勘違いしている人が多い一方で、ご自身は何処に向かえばいいのかをしっかりと見据えて、真剣に戦っているプロの起業家もいます。あなたも是非、プロの起業家を目指して前に進まれてくださいね。
起業をして楽しいことは、すべてご自身の裁量権で決定判断ができるということです。
責任重大ではありますが、これほどやり甲斐があることはありません。
そして、お客様のお役に立てているという実感と世の中に貢献ができているという気持ちが前に進む原動力にもなります。
まとめ
・起業は、「エイッ!」と魔法をかけたら直ぐに軌道に乗るような簡単なものではない。
・働き方改革とコロナ影響で、益々起業家人口が増えているが、時代変化を追い風にしていく。
・起業術の成功のみの甘い言葉を鵜呑みにしてはいけない。
・現実的な起業にかかる考え方、どんな仕事もプロになるためには、1万時間と言われている。
・自分の軸がぶれていては、経営ができないので、経営理念を持つこと。